医療福祉の税務情報
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文書作成日:2023/05/15
社会福祉法人とインボイス制度

前回、医業とインボイス制度についてご案内しました。今回は、社会福祉法人とインボイス制度について確認しましょう。

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インボイスとは

 前回確認しましたが、インボイスとは、売手から買手に対して、消費税の適用税率、消費税額等を正しく伝えるために交付する、一定の事項を記載した書類・電子データのことをいいます。

 そして、このインボイスは、インボイス発行事業者でなければ交付することはできず、インボイス発行事業者になるには、事前に申請を行う必要があります。申請は、消費税の申告納税を行う事業者(以下、課税事業者)でなければできません。

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インボイスが必要となる場合

 インボイスが必要となるのは、前回確認したとおり、買手が課税事業者であり、かつ、消費税の計算において、本則課税を適用している場合です。これは、インボイスの保存がなければ、本則課税での計算上、原則、仕入税額控除として課税売上げに対する消費税額から控除することができないからです。

 そのためインボイス発行事業者は、買手である課税事業者の求めに応じてインボイスを交付しなければならず、その写しの保存が義務付けられています。

 他方、一般消費者や消費税の申告納税を行わなくてよい事業者(以下、免税事業者)から交付を求められても、交付する必要はありません。また、消費税が課税されない取引についても、インボイスを交付する必要はありません。

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社会福祉法人とインボイス

 社会福祉法人として、介護保険の給付を受けるサービスや、社会福祉法に規定する第一種社会福祉事業、第二種社会福祉事業などの社会福祉事業を行っている場合には、一般的に消費税が非課税とされるものが多く、免税事業者となっている事業者もいらっしゃることと思います。

 しかし、これらの事業を行っていたからといって、すべての取引について消費税が非課税とはならず、課税とされる取引も存在します。また、社会福祉法人は、これらの事業以外の事業を行っている場合があり、必ず1つ1つの取引について、消費税の課否判断が求められます。

 そのなかで、社会福祉法人がインボイスの交付を求められるケースとして考えられるのは、たとえば次のような取引です。

  1. 就労支援事業などによる請負や販売のうち、企業などに対する売上げ
  2. 企業向けの物販や不動産賃貸などによる収入

 インボイスの交付を求められたときに、交付ができるようにインボイス発行事業者となるか否かの検討はお済でしょうか。

 免税事業者であってインボイス発行事業者となるには、課税事業者となる必要があります。インボイス発行事業者である間は、たとえ基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えなくとも、課税事業者となり続けます。つまり、消費税の申告納税を行うための事務負担や納税資金の確保等が生じることとなります。特に、免税事業者の場合、インボイス発行事業者となるか否かの選択は、慎重に行う必要があります。

参考:国税庁HP「特集 インボイス制度」など

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